ここは,「食」をテーマに発信します。内容は,庭や畑で栽培したもの,野外で入手可能な食材などの「栽培方法」・「調理法」・「体験談」,発酵食品の作り方などです。

 

E1 ヨーグルトを作る

 きっかけはテレビでブルガリアの家庭のヨーグルト作りを見たことです。何でも牛乳を鍋で50℃位に温めるそうです。大方の目安は表面に膜ができるタイミングだそうです。後は,これに種菌を入れて毛布でグルグル巻きにして放置するだけ。ブルガリアと言えば,ヨーグルトの本場,こんなに簡単にできるとは思っていませんでした。生徒実験で牛乳パックを使用したヨーグルト作りはやったことがありましたが,できたヨーグルトを食べる勇気はありませんでした。これならできそうだと思い早速やってみました。温度は電子レンジで50℃~60℃の間で試しました。結果はできないこともないですが,出来は非常に不安定でした。電子レンジも限界に近づいていることも事実です。買い換えをした安価な電子レンジには幸い?なことに温度設定がありません。試行錯誤の末以下の方法に落ち着きました。牛乳は安価なものから選びました。確かに名のある銘柄の方が美味しい気がしますが・・・。種菌は市販のヨーグルトをいくつか試しましたが,カスピ海ヨーグルトに落ち着きました。使用する道具は下の写真(1-1)と電子レンジとスプーンです。

① 耐熱容器(1.2ℓ)に牛乳600㎖程度とり,電子レンジで800W3分加熱滅菌する。
② 容器を取り出し,種菌150~200㎖を加え潰しながらよく混ぜ,蓋をする。
③ 容器を発泡スチロールの箱の中に収納し,タオルと断熱用シートを被せ,蓋をする。
④ 約1日放置した後,容器を取り出して冷蔵する。

 牛乳と種菌の量は通常は目分量で行っています。種菌は植え継いでいるのでその時その時で状態が異なります。概ね種菌を潰しながら混ぜていき表面に粒々が確認できる状態になった程度をだいたいの目安にしています。種菌については植え継いで久しいので,そろそろ新しいものに交換した方がよいか,自宅により適応した菌が増加していると予想されるのでこのまま植え継ぐかは思案のしどころかもしれません。
 我が家では,日曜日意外の夕食の後にヨーグルトを食べています。これは,ある専門家の話を伝え聞いたからです。現在はヨーグルトの上に写真(1-2)のように蜂蜜と自家製ダイダイママレードを載せて食べています。ほぼ毎日それなりの量を消費していますので,写真(1-1)にある耐熱容器2個を食事用として,不揃いの別の耐熱容器3個を種菌用としてまわしています。これは私の仕事です。

 生徒実験への応用としては,衛生管理のきちんとした調理施設(調理室)でヨーグルトの作成を行い,酵母などの他の微生物とともに実験室で観察を行うというのはいかがですか。衛生管理を十分に行えば生徒に食べさせても大丈夫でしょう。
(2020年4月12日,H,S)

<追記>2020年4月24日
 種菌を作り直すことにしました。購入してきた商品をあけると香りの違いに驚かされます。厳選生乳100%と記されていました。やはり味にこだわりのある人は可能な範囲で牛乳選びをお薦めします。ちなみに我が家はスーパーの廉価な牛乳からの厳選?です。種菌入れ替え後は,多少美味しくなった気がします。

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E2 ツワブキを食べる

 大学時代,友人と寮の周りでツワブキ採りをしたことがあります。寮に戻ると彼はひたすら皮むきをしています。何でも友達にあげるらしく,曰く「ツワブキをそのままもらっても誰も喜ばんばい。」その訳は,ツワブキの調理の経験がある人はみんなわかるんですが,ツワブキの皮むきは本当に大変です。フキとツワブキでは,私はツワブキ派です。しかし,あの皮むきで手が褐色になるのを考えると山でツワブキなど採ろうとはなかなか思いません。
 退職後は,庭では食べられる植物を保護しているので,ツワブキも年々勢力を拡大しています。そこで,皮をむかずに食べる何かいい方法はないかとネットで検索していると「つわぶきの新芽の佃煮 レシピ・作り方」というのがありました。早速,やってみました。家族は美味しいと言ってくれました。八女の自然に親しむ会の方に,「そこのそんなのを採って帰るといいですよ。後はネットを見てください。」と写真(2-1)のようなやや赤みのあるものを教えると,後日,「本当に美味しかったですよ。」とお礼を言われました。しかし,私には甘すぎますし柔過ぎです。現時点では,あの苦労して皮むきしたツワブキには負けています。レシピをよく読み直すと,砂糖・醤油の量はお好みでと書いてありました。取り敢えず,ツワブキの皮むきをしないでいい方法を見つけたまでは喜んでいいかもしれません。
 発展途上ですので,ここでは自己採点60点の最近チャレンジを紹介します。

① ツワブキの葉が十分に展開していない新芽を採取する。
② 葉身を切り落とし,葉柄の表面の毛をタワシなどで取り除く。
③ ②を5㎝位に切り鍋に移し,十分な量の水を加え加熱する。
④ 沸騰したら弱火にして,5分程度加熱を続ける。(あく抜き?)
⑤ ④をざるに取り出し,かるく水洗いする。
⑥ 鍋に砂糖・醤油・料理酒・みりんをお好みで加え加熱する。 
  (例;新芽10本に対して,砂糖・醤油を大さじ2,料理酒・みりん大さじ1)
⑦ 醤油が泡立ってきたら⑤を加えよく混ぜた後,蓋をして10分~20分程度弱火で煮る。
  (お好みでいりこ・ちりめんじゃこ・鰹節などを加える。)
⑧ 蓋をとりお好みで煮詰める。

 相変わらず,味は微妙です。何かいい考えはないですかね。今回は,試しに綿毛がついて葉肉(葉の広がっている部分)も調理してみました。葉の表面の綿毛を水洗いしながら剥がし,2~3枚に扇状に切り,③~⑤の作業を一緒に行います。葉肉は別に取り分け,千切りにします。これをごま油で炒め,味付けはお好みでというものです。家族は美味しいと言って食べてくれましたが,自己評価は「別に葉肉は捨てなくてもいいか,食べられなくもないので。」
 味はとてもとても・・・です。

 なお,ツワブキの花柄も美味しそうに見えるのですが,昨年はチャレンジする勇気が無くて現在に至っています。食べているのは葉柄ですが,花柄も初期の色・形は大きくは違いません。今年勇気を出してやってみようかと思いますが・・・。勇気がでたらまた追記します。
(2020年4月15日,H,S)

<追記>2020年4月17日
フキのきんぴらをやってみました。懲りずに葉も食べてみましたが,どちらかというとツワブキの葉よりはいける感じがしました。

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E3 ダイダイママレードを作る

 庭に誰も植えていないダイダイがあります。おそらくタネから発芽したのでしょう。私より若いことは間違えありませんが,いつごろから生えてきたのか明確な記憶は,今はもう誰もありません。大事にもされてきませんでしたが,毎年それなりに実をつけます。魚料理や汁物にはよくあい美味しいのです。親戚や知人にもそれなりの数を配るのですが,それでも余ります。ポン酢でも作ろうかと思いネットを検索していると,ダイダイママレードというのを見つけ,やってみることにしました。勿論,省略レシピです。試行錯誤の末,だいたい方法が安定してきましたので紹介します。味は慣れれば美味しいとも言える程度だと思ってください。

① ダイダイのヘタをはずし,ピーラーで皮をむく。
② 薄皮をざるに移し,水洗いする。
③ 水洗いした薄皮を鍋に移し,十分な量の水を加え加熱する。
④ 沸騰したら弱火にして,2分程度加熱を続ける。(あく抜き?)
⑤ ④をざるに取り出しかるく水洗いし,細切りする。
⑥ 本体部分は横(赤道面)に切り,断面のタネはお茶用パックに入れる。
⑦ 果汁を別の容器に搾り,残りを細切りにする。
  (細切りはあく抜き?の後でもよい。)
⑧ ⑦は③④と同じ処理(煮沸は5分程度)を行い,水洗いをする。
⑨ 鍋に薄皮・果汁・残り・タネの入ったお茶用パックを入れる。
⑩ ⑨に砂糖を加え加熱する。蜂蜜・オリーブオイルなどをお好みで加える。
⑪ 沸騰したら弱火にして,お好みで煮詰める。

 私は甘味料に三温糖を用い,ダイダイ6~7個に対して量は350g程度です。ネットのレシピではもっと甘くすることを薦めています。自宅での主な用途はヨーグルトとトーストのトッピングです。他の甘味料とブレンドするのでちょうどいい甘さかなと思っています。写真(3-2)はチーズトーストの上に載せたものです。ほどよい酸味です。
(2020年4月15日,H,S)(2022年1月4日・2月5日一部変更)

<追記>2022年4月16日
 今年,引っ張りみじん切り器2という道具を導入しました。これを使用して,薄皮や残りを果汁と混ぜて小さくすると,⑧は省略できるようです。

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E4 サンショウの若葉を食する方法

 山椒(サンショ)の生物名(標準和名)はサンショウだそうです。身近なサンショウの仲間には「イヌザンショウ」・「カラスザンショウ」などがあります。私も,「イヌザンショ」・「カラスザンショ」とは呼ばないのですが,なぜか「サンショウ」だけは「サンショ」と呼んでいます。サイトで「山椒,葉,レシピ」で検索すると,「山椒の葉(木の芽)の佃煮」(クックパット)というのが出てきました。問題は山椒の葉をボールに1杯とのいう記載です。我が家のサンショウは,鳥の糞の中の種子が勝手に発芽したものです。その1本だけを残して育てたものですので,沢山の若葉を採取することは困難です。別のサイトでは葉は市販のものを使用する旨が記載されていました。市販のものを購入してまで食べようと我が家では誰も思いませんので,何とか「水増し」を考えてみました。そこで思いついたのが「シソ」です。庭には,私が昔種子を蒔いたオオバ,エゴマに近い形態を示すもの,そしてその間の雑種?と思われるものが食べきれないペースで生えてきます。この「水増し」のシソと山椒の相性はよいと思いますので紹介します。
 前準備として,食材を少々選別します。サンショウの若芽の先端部は枝ごとそのまま使用します。市販されているような葉が十分展開している部分は,小さな葉(小葉)だけを使用します。(サンショウのように1つの軸に多くの小さな葉(小葉)をつけているものを複葉と呼び,最初の小葉までの軸を葉柄,その先の軸を葉軸と呼びます。専門用語で表現すると,小葉を葉柄と葉軸から千切って使用します。)シソも同様に,柔らかい芽生えや先端部は枝ごとそのまま,下の方は葉の部分だけを使用します。

① 選別した食材をざるに移し,水洗いする。
② ①に大量のお湯をかけた後に,冷水で冷やす。
③ ②をまな板に取り小さく刻んで鍋に移す。
④ 鍋に食材がつかる程度に水を入れ,調味料をお好みで加える。
  (例;醤油大さじ2,料理酒大さじ2,みりん大さじ1,鰹だし少々)
⑤ 煮汁が少なくなるまで,弱火で煮詰める。
 (水分がなくなってきたら,最後にごま油で炒めてもよい。)
⑥ 鍋が冷えたら,清潔な容器に移して冷蔵保存する。

 味は思いの外美味でした。これで,サンショウの利用法が産まれた感があります。2度目のチャレンジは,シソと④の水を入れ過ぎでやや大味になってしまいました。なお,サンショウの葉を採取するタイミングもやや遅れた感がありました。なるべく葉が十分に展開する時まで待とうと考え,欲張り過ぎたようです。水の量,水増しのシソの量,サンショウの新芽の収穫のタイミングが重要な気がしています。
(2021年6月16日,H,S)

<追記>2022年4月16日
 第1回目の収穫は,収穫量及び新鮮さを加味すると,花芽が形成される頃が良いように思いました。

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E5 ヤブカンゾウを食べてみる

 庭のヤブカンゾウはどこから来たのかはわかりませんが,最初は1本か2本だったのがいつの間にか少しずつ増えてきました。ヤブカンゾウが食べられることは知っていました。最初に食べたのは若いころで,乾燥したツボミを秋月で買って帰った時だと思います。販売しているお嬢さんに「これは何の花ですか。」と尋ねると,「食ユリ」との答えが返ってきました。 「食ユリ」はそこの地元での呼び方なので,恐らくヤブカンゾウの仲間の総称だと思われます。その味の記憶は残っていません。
 八女の自然に親しむ会のメンバーの1人に「ヤブカンゾウは新芽のときも食べられるそうですね。どんな味ですか。」と尋ねると,「私も食べたことがありませんが,カンゾウ(甘草)と言われるぐらいですから甘いんじゃないですか・・・。」という返答でした。改めてカンゾウを調べてみると,植物のカンゾウの「カン」には2種類の漢字があてられ,甘い方の「甘草」はマメ科で,ユリ科のカンゾウは「萱草」と記されていました。ヤブカンゾウが甘いだろうというのは「カン」違いのようです。
 庭のヤブカンゾウの若芽をばっさり切り取るのはやはり勇気がいります。その後枯れてしまうのではないかと思うからです。そこで,半分程度残すことにして,全滅はしないようにしました。幸い写真のように,残された部分で十分に成長できるようです。野外観察の時も同様なヤブカンゾウの姿を見かけます。野外のものは,草刈りの後だと思います。
 今回は,食材が少ないことからクックパットの「ノカンゾウ/ヤブカンゾウの酢味噌あえ」をやってみました。材料はヤブカンゾウの若芽5株分,白ネギ半分,酢味噌適量という初心者向けのものです。

① 少し伸び始めているヤブカンゾウの若芽を地面近くから切り取り,水洗いしながら葉をバラバラにする。
② ヤブカンゾウの葉は4㎝程度に切り,白ネギは斜め切りにする。
③ 鍋で白ネギを5分程度葉が柔らかくなるまで茹で,ヤブカンゾウの葉を加えてさらに3~4分茹でる。
④ ③をざるにとりあげ,皿に移して酢味噌であえる。

 味は,普通ですね。家族が美味しいと言ってくれたので,資源が枯渇しない程度にやってもいいかなとは思っています。
(2021年6月16日,H,S)

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