ここには,活動報告の続きを載せます。
R2-3 八女の自然に親しむ会2024年~
R7 キルギス共和国の自然
R8 日生教2024年東京大会から
R2-3 八女の自然に親しむ会2024年~
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シイノキの板根1
シイノキの板根を斜面下から見たものです。斜面下側の板根がよく発達していることがわかります。
(みやま市,2024年4月28日) -
シイノキの板根2
シイノキの板根を斜面上斜め横からみたものです。幹の上部と下部では板根が発達状態が異なることがわかります。
(みやま市,2024年4月28日) -
シイノキの板根3
シイノキの板根を上部からみたものです。手前側の地下部がどのようになっているかはわかりませんが,下部よりも板根の発達が悪いように思われます。
(みやま市,2024年4月28日) -
イヌカタヒバ
葉に光沢がなく,紅葉するようです。途中から飛び出しているようにのは,胞子のう穂です。
(みやま市,2024年4月28日) -
イワガネ1
イラクサ科の低木です。雌雄異株だそうです。
(みやま市,2024年4月28日) -
イワガネ2
周り白いカラーのような構造をもっているのが,果実です。雌株ということになります。
(みやま市,2024年4月28日) -
ツクシイワヘゴ
谷沿いに多い気がしますが,岩とは無関係なようです。へゴの仲間でもありません。
(みやま市,2024年4月28日) -
ネジキ
名前のように樹皮がねじれているようにみえます。
(みやま市,2024年4月28日)
<4月21日>みやま市清水山
今回の話題は「シイノキの板根」・「イヌカタヒバ」です。
「板根」というのは,根が地上部にもあり,それが板状になっているものを言います。植物体を支える他,呼吸を助けるものもあるそうです。清水山のシイノキは,ツブラジイが多いようですが,スダジイもあり,その中間的な形質を示すものもあるような気がしています。写真のシイノキはツブラジイ的形質が強い気がしますが,あえて「シイノキ」としました。個人的な見解では,両者を別種として区別するのは無理な気がしています。ちょうど,斜面にはえていて,斜面の下側に板根が発達しているのが面白いと思いました。
「イヌカタヒバ」は,日本では石垣島や西表島などの南の島に分布し,沖縄県では絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。園芸用に栽培され,それが多くの場所で逸出し,家の石垣などで繁殖するようになったようです。自生地では絶滅危惧種が,多くの場所で普通種になってしまっている訳です。このような話はよく聞く話ですが,「イヌカタヒバ」の場合は,地球温暖化も関係している気がします。
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キンモンガ
白色型ですが,翅の下の部分小さなの斑紋はやや黄色くみえます。
(八女市,2024年9月8日) -
センボンヤリ1
センボンヤリ1の秋の花芽形成をが始まったところです。
(八女市,2024年9月8日) -
センボンヤリ2
茎を伸ばして果実を形成したことろです。
(八女市,2024年9月8日) -
センボンヤリの秋の果実
秋に閉鎖花に形成される果実です。はるのものより果実が多いとされています。
(八女市,2024年9月8日) -
センニンソウ1
センニンソウは小小葉に鋸歯がないのが特徴です。
(八女市,2024年9月8日) -
センニンソウ2
花の外側に広がっているのが雄しべです。中心部には複数の雌しべがあります。
(八女市,2024年9月8日) -
ヨツボシホソガ♂1
アスファルトの上でじっとしていました。
(八女市,2024年9月8日) -
ヨツボシホソガ♂2
雄には斑点はないようでつが,雌には4つの斑点があるようです。
(八女市,2024年9月8日)
<9月8日>グリーンビア八女山中渓谷
今回の話題は「センボンヤリ」・「センニンソウ」です。
「センボンヤリ」は春と秋に花を形成します。春は通常のキク科の花で,別名「ムラサキタンポポ」と呼ばれているように,タンポポのようなわたげ(果実)をつけます。秋の花は閉鎖花で開花することはないようですが,内側に筒状花があり自家受精してやはり果実を形成します。ツユクサのように受粉が成立しないときには自家受精で種子を形成するケースは多くあるとは思いますが,閉鎖花の場合は,初めから他花受精をしない仕組みをもっていることになります。ここで,「センボンヤリ」の不思議をまとめてみます。
① なぜ,春と秋に異なる花形成をするようになったのでしょうか。
② なぜ,春と秋の花形成の方法は両方とも現在まで継続されているのでしょうか。
皆さんも考えてみてください。
「センニンソウ」の仲間は,葉に変異が多いのでやっかいです。園芸ではクレマチスと呼ばれている仲間です。近縁のコバノボタンヅルとボタンヅルには,葉にギザギザ(鋸歯)があります。果実の色はかなり異なるようですが,花の段階で同定するときは基準に使用できません。センニンソウの葉も写真のように葉に刻みがありますが,鋸歯はないようです。葉の形には変異が多いので,確実に同定するには,果実ができるのを待った方が良さそうです。
R7 キルギス共和国の自然
天山山脈に抱かれたキルギス共和国は美しい風景と高山植物,そこに舞う蝶に恵まれた自然豊かな地域である。2024年6月28日から7月6日までの9日間,キルギス共和国に行く機会を得たので自然をいくらかの写真で紹介したい。
今回の旅行は福岡空港から韓国のインチョン空港を経てカザフスタンのアルマトイへと飛んだ。アルマトイからキルギス共和国のビシュケクへと入り,トクマクを経てソン・クル湖畔へとバスで進んだ。ここでユルタに2泊して,周りの山々の植物観察を行った。その後バルスクーン峡谷,チョン・アシュ峠付近の3か所で植物観察を行った。また各地に行く途中でも植物の観察を行った。
写真1 今回の旅行の行程。主に3か所の高原に行き,自然散策をした。1,ソン・クル湖畔(約3000m )6月30日~7月2日 2,バルスクーン峡谷 (約3500m)7月3日 3,チョン・アシュ峠付近(約3500m)7月4日
アルマトイからソン・クル湖畔へいく途中にカザフスタンのタムガリの岩絵群を見学し,その後キルギス共和国に入りトクマクにてブラナの塔と石刃を見学した。塔の回りは野の花が咲き乱れ,蝶が数多く乱舞していた。
アルマトイからソン・クル湖畔へいく途中にカザフスタンのタムガリの岩絵群を見学し,その後キルギス共和国に入りトクマクにてブラナの塔と石刃を見学した。塔の回りは野の花が咲き乱れ,蝶が数多く乱舞していた。
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岩絵
タムガリの考古的景観にある岩絵群として世界遺産に登録されている。紀元前14世紀以降に書かれた岩絵群の一つ。
2024年6月29日 -
カザフタンのチョウ
岩絵群の周辺に遺跡群があり,遺跡の岩の下にヒカゲチョウが多数生息していた。
2024年6月29日 -
ブラナの塔
世界遺産ブラナの塔。カラハン朝の都パラサグンと言われた所に,1000年ほど前に建てられ要塞の見張りの塔としての役割も果たした。
2024年6月30日 -
ブラナの塔周辺の植物1
ブラナの塔の周りには石人が建てられ,多くの野草の花が咲き乱れていた。
2024年6月30日 -
ブラナの塔周辺の植物2
色は黄色と赤で違うがよく似た花である。トウヒレンに似ている。
2024年6月30日 -
ブラナの塔周辺のチョウ1
ジミチョウであるが種は同定できない。
2024年6月30日 -
ブラナの塔周辺のチョウ2
シジミチョウであるがよく似たシジミチョウが何種類かいて写真では同定できない。
2024年6月30日 -
ブラナの塔周辺のチョウ3
チョウセンヒメシジミに似るが同定はできない。
2024年6月30日 -
ブラナの塔周辺のチョウ4
ベニシジミの仲間と思われる。
2024年6月30日 -
ブラナの塔周辺のチョウ5
チョウセンシロチョウだと思われる。
2024年6月30日
トクマクからソン・クル湖畔へ行く途中にクルマク峠(3430m)で植物観察を行った。
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クルマク峠の植物
クルマク峠も3430mあり,高山植物が多く咲いていた。
2024年6月30日 -
クルマク峠近くの植物1
シュマルハウセニア・ニュドランス キク科シュマルハウゼニア属アザミ亜科。天山山脈特有の植物で高山帯の割と多くのところに咲いていた。
2024年6月30日 -
クルマク峠近くの植物2
シュマルハウセニア・ニュドランス。小川の近くに群落をなしていた。道路わきにもよく見られた。
2024年6月30日 -
クルマク峠の植物2
トロリウス・リラキヌス。キンポウゲ科キンバイソウ属。今回訪れた3か所の高原のすべてのところに見られた。谷の湿ったところに見られる。開き始めは青がいくらか入った白色で美しい。今回のツアーはこのトロリウス・リラキヌスを散策する旅であった。
2024年6月30日 -
クルマク峠のチョウ
トロリウス・リラキヌスの咲く谷の花に止まっていた。18時で気温も低く,動く様子はなかった。小型のヒョウモンチョウであるが種は不明である。アサヒヒョウモンにも似ている。
2024年6月30日
ソン・クル湖畔のユルタで2泊しソン・クル湖畔やその周りの山々で植物観察をした。湖畔2日目は天候が安定せず晴れたと思ったら雨が降り,朝方には激しい霰となった。気温も低く夜はストーブをつけた。また晴れの時間もあり湖畔の散策を行った。常に風が強く蝶は風の強さと気温の低さで飛べず,花や葉にしがみついていた。湖畔には家畜が放牧されていて,背の低い高山植物が咲き乱れていた。特にエーデルワイスが群落を作っていた。
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ソン・クル湖畔の宿泊施設
ソン・クル湖畔のユルタに2泊した。激しい雨と雷・雹に見舞われ,よく寝れなかった早朝にユルタから出ると虹が出ていた。
2024年7月2日 -
ソン・クル湖畔のエーデルワイス1
ソン・クル湖畔には数多くのエーデルワイスの群落があった。一面に白く咲き誇るエーデルワイスを見かける。よく見ると何種類かあるようであった。
2024年7月1日 -
ソン・クル湖畔のエーデルワイス2
近くで見ると白い綿毛の中に黒い花が咲いていた。
2024年7月1日 -
ソン・クル湖周辺のの植物
ソン・クル湖周辺の山々の草原にはこのピンクの花がどこにも咲いていた。種名は不明。
2024年7月1日 -
ソン・クル湖畔のチョウ1
ソン・クル湖周辺は広い草原になっており,家畜を放牧してあった。家畜が草を食べるために草の背丈が特に低く,一面芝生のようである。いつも風が強く,蝶は草や建物にへばりついていた。ヒョウモンチョウであるが同定できていない。
2024年7月1日 -
ソン・クル湖畔のチョウ2
ユルタに囲まれた空き地に門があり,そこにへばり付いていて,触っても飛ばない。ウラギンヒョウモンの仲間だと思われる。
2024年7月1日 -
ソン・クル湖畔の子供
ソン・クル湖畔を散策していると遠くからロバに乗った子供がやってきた。牛乳缶を積んでいて,手伝いをしているのだろう。キルギスの子供は小さいころから自転車の代わりにロバや馬に乗っているのをよく見かける。
2024年7月1日
ソン・クル湖畔からイシク・クル湖畔のタムガに降り,バルスクーン渓谷へと植物観察に行った。バルスクーン渓谷も3500mを超え,高山植物の宝庫である。
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バルスクーン渓谷
バルスクーン渓谷へ行く途中は様々な山の風景と,高山植物が見られる。距離は遠く,道は悪いが,美しい風景を見ているといつの間にか目的地に着く。このような風景は日本では見られない。
2024年7月3日 -
バルスクーン渓谷の植物1
草原にある谷間の湿ったところにトロリウス・リラキヌスはあった。白ではなく独特の色合いの花である。
2024年7月4日 -
バルスクーン渓谷の植物2
トロリウス・リラキヌスの咲く環境は石がゴロゴロした湿った場所である。小さい草丈に大きな花が咲き美しい。ツアーでは当たり前のように見られたが,咲く時期が短くどこでもある花ではない。私たちはラッキーであった。
2024年7月4日 -
バルスクーン渓谷の植物3
渓谷には数多くの種類の花が咲いていたが,容量の関係で多く見られる花を一つ載せたい。アズマギクのような花である。どこにもある花であり,色違いに見える花もあった。
2024年7月3日 -
バルスクーン渓谷のチョウ1
ヒョウモンチョウの仲間であるが図鑑で絵合わせしても種は同定できない。この仲間は高山ではよく見る種である。
2024年7月3日
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バルスクーン渓谷のチョウ2
この蝶もよく見る。ヒョウモンモドキの仲間にも見える。温度が高くなるとヒョウモン類は飛ぶのが早く撮影も大変である。
2024年7月3日 -
バルスクーン渓谷のチョウ3
標高2700m付近のお花畑で撮影。チョウセンシロチョウの仲間。
2024年7月3日
最後の植物観察はチョン・アシュ峠近隣で行った。中国との国境近くである。キルギス人もあまり訪れることがないといわれ,自然がそのまま残されている。家畜が放牧されている所では高山植物は単純な植生となりやすい。チョン・アシュ峠近くではあまり放牧は行われていないように見え,高山植物が咲き乱れていた。3500mを超えると蝶も少なくなるが,ヒカゲチョウ,ヒョウモンチョウ等見られる。パルナシゥスもいくらか見られたが撮影できなかったのは残念である。高山植物も場所を変えると見られるものが大きく変化する。写真はないが,がれ地には黄色や青いビオラと思われる植物の群落があるところもある。
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チョン・アシュ峠近くの風景1
チョン・アシュ峠近くにサウスレアが咲いていた。高度は3500mを超え,寒さから花を守るようになっている。サウスレアはチョン・アシュ峠でしか見られなかった。稀な植物である。
2024年7月4日 -
チョン・アシュ峠近くの風景2
黄色いケシは,2500m を超えるといたる所で咲いている。
2024年7月4日 -
チョン・アシュ峠近くの植物1
サウスレアの花は花を守る覆い(苞)の中に見られる。覆lい(苞)の直径は20cmくらいあり大きい。
2024年7月4日 -
チョン・アシュ峠周辺の風景3
チョン・アシュ峠の周りには多くの高山植物が咲き乱れている。トロリウス・リラキヌスも咲いていた。
2024年7月4日 -
チョン・アシュ峠近くの植物2
2024年7月4日
キルギス共和国は昨年に引き続き2回目になるが,素晴らしい風景と高山植物・飛び交う蝶など魅力あふれる場所である。機会があれば今後も訪れたい地域である。
(Y,T)
R8 日生教2024年東京大会から
今回の東京大会は,体調不良のため現地研修をキャンセルすることになりましたので,座学のみの報告になります。
東京大会の大会主題は,「みんなで広げよう探求の輪 ~本物から学ぶ生物科学~」でした。今回の大会でやたら耳にしたのが「探求」という言葉です。今の生物教育に流行語があるとすれば,間違いなく「探求」ははいるなと感じました。
記念講演は,東京大学未来ビジョン研究センター教授の江守正多先生による「生物学と気候変動~IPCC最新レポートから分かること~」でした。講演を聞いて多くの先生方が感動されたそうですが,私の耳に残った言葉は「石器時代が終わったのは石がなくなったからではない。」という言葉でした。
今回はポスター発表を1つ紹介します。立教新座中学校・高等学校の墨野倉伸彦先生の「低価格CO2センサーを活用した光合成測定実験-実験コスト削減と確実性の追求-」です。コロナ禍で多くの学校に設置されたCO2センサーは安価で,性能もそれなりということでした。高精度のCO2センサーに比べると測定値はやや正確さを欠くものの,相対的な変化をグラフ化するのには十分ということでした。アクリル板と同様に学校よっては十分余っているとのことでした。正確な測定を必要としない生徒実験では十分に使えそうです。家庭用のCO2センサーはコロナ禍で大量生産したらしく,価格も5千円程度になっているそうです。
(H,S)